親亡き後に備える
親が亡くなった後に子どもは不自由なく生きていけるだろうか。
自分の力でお金の管理ができるだろうか。
自分が亡くなった時のことを考えるのは気持ちよくありませんが、いざという時のためにどのように備えるといいのか、障害のお子様を持つ親御様のための「親亡き後対策セミナー」に参加してきました。
とても勉強になりました。
そして、何もしないと子どもに大きな負担がかかる可能性があり、それを避けるには親御様が元気な時に対策をして備えておく必要があることが分かりました。
親亡き後のお子様の生計を支える
「親亡き後対策セミナー」では、障害者のお子様を持つ税理士、ファイナンシャルプランナーの方々が、「成年後見人」を使わないようにと強く語られていました。
そこで「親亡き後対策セミナー」を参考にして、「成年後見人」を使わないで、親亡き後にお子様が安心して生計を成り立たせる方法についてまとめてみました。
「成年後見人」のデメリット
認知症,知的障害,精神障害などによって判断能力が十分ではない方を保護するために「成年後見人」の制度はあります。
しかし障害が続く限り解約できないので、毎月2~6万円の支払いがず~っと続きます。
例えば毎月3万円としても1年間に36万円、10年で360万円、30年で1080万円です。
お子様に1000万円の遺産を残しても、後見人への費用として消えて無くなります。
また、「成年後見人」は資産を守るという視点で管理を行います。
旅行はムダ! おしゃれもムダ! と考えて資産を守りますので、旅行に行けない、おしゃれもできない、のような弊害が出ています。
「後見人制度」のデメリット(NHKクローズアップ現代)
https://www.youtube.com/watch?v=n4dR1g0LxfE
絶対に必要な「遺言書」
2022年4月より、親権は子供が18歳までとなりました。
18歳を過ぎた障害のあるお子様の父親が亡くなったとします。
母親は健在です。
でも母親がいたとしても、
18歳を過ぎると成人として扱われるので、母親に親権はありません。
成人なので、片親が亡くなっただけでも障害があれば自動的に「成年後見人」が付けられてしまいます。
障害を持つ成人(お子様)の権利を守るためです。
また18歳未満であっても、両親がともに亡くなると、「成年後見人」が付きます。
一旦、「成年後見人」が付くと、解約できません。
何もしてもらわなくても、ず~っと費用を払い続けます。
「成年後見人」を避けるには、
「成年後見人」は付けませんと書かれた「遺言書」を必ず残さないといけません。
ただ「遺言書」も正しく書かないと無効になります。
「家族信託」や「生命保険信託」を作成する際に、「遺言書」の書き方は専門家に相談するといいでしょう。
「家族信託」とは
~信頼できる健常な家族に依頼できるなら~
①「遺言書」を作成する
②「家族信託」を契約する
「家族信託」とは、自分が残す資産の使い方を自分が元気なうちに健常な家族に依頼しておくシステムです。
「家族の家族による家族のための財産管理」と言われています。
信頼できる家族に障害を持つお子様に残す資産の管理を、自分がイメージするように依頼できまるので、安心なシステムといえます。
内容は専門家と共に決めます。
費用はかかります。
それでも、
「成年後見人」だと年間で数十万円、しかも解約ができないのでず~っと費用を払い続けるので、依頼内容を細かく設定できる「家族委託」の方がメリットがあります。
また、
早い時期に契約しても遅い時期でも必要な費用は変わりません。
自分が元気なうちは執行されませんし、見直すこともできます。
つまり、
早く作成した方がお得で安心!ということです。
さらに、
家族信託の内容を相談する中で、「遺言書」についての相談もしてもらえます。
ただ
管理役となる家族に負担が長期にかかるので、信頼できる家族がいる時に使えるシステムです。
次の項で説明する
「障害年金」「障害者扶養共済」「生命保険」等にも加入しておきましょう。
家族信託とは(家族信託普及協会)
https://kazokushintaku.org/whats/
家族信託のデメリット
https://sma-shin.com/column/7/
「生命保険信託」とは
~頼れる家族がいない、家族以外に管理して欲しいなら~
① 「遺言書」を作成する
② 「障害年金」を受け取れるようにする
③ 「障害者扶養共済」に加入する
④ 「生命保険信託」を契約する
⭐簡単に流れをご説明します⭐
まずは、
20歳から「障害年金」を受け取れるように手続きをしましょう。
そして、
親が亡くなった後にお子様が受け取れるように「障害者扶養共済」の手続きをしておきます。
通常の生命保険は、
親が亡くなった時に一度に支払われます。
障害のあるお子様が一度の大金を受け取ることになり、管理が大変です。
そのため、
保険金の支払い方を事前に決めておける「生命保険信託」を契約しておきます。
この場合も、
「成年後見人」が付かないような「遺言書」を残す必要があります。
① 「遺言書」の書き方
ここでは遺言書の書き方については細かく説明しませんが、書き方によっては無効となります。
気を付けてください!
「遺言書」については、
「家族信託」や「生命保険信託」の契約の際に相談すると専門家がアドバイスしてくれると思います。
「成年後見人」にしかできない事はありますが、デメリットの方が大きいので、「成年後見人」を安易に使われないような「遺言書」を残すようにしましょう。
② 「障害年金」について
医療機関と日頃から連携しておく必要があります。
日常生活の「制約」をしっかりお伝えし、把握してもらっていないと「診断書」は発行されません。
1回の診断だけで診断書が発行されるケースは少ないからです。
20歳から障害年金をもらうには、20歳の誕生日の前後3ヶ月以内の診断書が必要です。
知的障害と障害年金
https://www.syougainenkin-shien.com/intellectual_disability
知的障害(精神遅滞)で障害年金を申請する場合のポイント
https://www.osaka-nenkin.jp/14268513615123
また障害年金は1級、2級と認定された時に受給されます。
埼玉県・さいたま市の”C”の場合は、「軽度」とみなされ、受給されない3級として判定されることが多いようです。
障害年金の制度をご存じですか(政府広報オンライン)
https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201201/2.html
③ 「障害者扶養共済」について
障害のある方を育てている保護者が毎月掛金を納めることで、保護者が亡くなった時などに、障害のある方に対し、一定額の年金を一生涯支給する公的な制度です。
★保護者の年齢が若いうちに加入すると、月額の掛金が安くなります。
★掛金の全額が所得控除になるので節税対策となります。
★一口の掛け金だと2万円/月を一生涯受け取れ、二口までかけることができます。
障害者扶養共済(しょうがい共済)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000195619.html
④ 「生命保険信託」について
通常の生命保険は、死亡時に保険金が一度に入ります。
さらにその管理はお子様に任せられます。
一方「生命保険信託」は、
保険会社から支払われる保険金を信託銀行が預かります
そして、
事前に親御様と相談していた内容に従い定額・定期的に保険金をお子様に支払うシステムです。
「○歳になったら□円に」のような細かな設定も可能で、万が一にお子様が亡くなった後の財産の対応まで依頼可能です。
手数料はかかりますが、成年後見人に比べると納得できる額です。
生命保険信託とは
https://www.shintaku-kyokai.or.jp/products/individual/assetsuccession/life_insurance.html
生命保険信託の例(ジェイアイシー)
https://www.jicgroup.co.jp/personal/future/
まずは相談だけでも
「家族信託」「生命保険信託」は専門家と相談しながら内容を決めます。
どのように残してあげるとお子様が困らなくて済むのか、そして「税」の面から有利なのか、さらに法律なども考えながら組み立てる必要があるからです。
とても複雑ですし、正しく組み立てないと有効になりません。
そのため専門家と協力しながら組み立てるのがベストです。
例えばお子様が18歳を超えてから片親が亡くなると「成年後見人」が付いてしまいます。
18歳を過ぎて成人になっているので、親に親権がないからです。
自立した成人のお子様の権利を守るためとして、片親が亡くなっただけでも、デメリットが多いとされる「成年後見人」が自動的についてしまいます。
親が亡くなったことにより銀行口座が凍結される場合もあります。
この凍結を解除するのだけでもとても大変です💦
このように「遺言書」を正しく残さないと「成年後見人」が付いたり不都合があったりするので、様々なケースを想定すると専門家の力を借りた方が安心!です。
「成年後見人」には30年で1000万円ほど支払うケースが多いようです。
「成年後見人」にずっ~と支払うことと比べれば、これらの専門家への費用は、お子様の将来の安心として納得できる額に思えます。
1人の専門家だけでなく、できれば2人以上の専門家から話を聞きましょう。
たいていの場合、相談だけなら費用はかかりません。
それから、納得できる費用や内容を提示してくれた専門家に決めるといいでしょう。
ここまで読まれても、どのようにすればよいのか分からない事がたくさんあるでしょうから、まずは専門家と相談してみてください。
お子様の将来を安心なものにするために、
万が一に備えるために、行動なさってはいかがでしょうか。
※この内容は「親亡き後対策セミナー」の内容と作成時の法律等に基づき注意を払い記載しましたが、正確性や安全性、さらにご利用にあたっては、ご自身のご判断と責任において対応願います。