埼玉県川口市は、不登校の子どもが特別なカリキュラムで学べる「不登校特例校」を設置する方針を固めた。
国は全都道府県や政令指定都市への設置を目指しているが、県内にはまだなく、実現すれば初めての例となる。
不登校特例校は、国が2005年に制度化した。文部科学省によると、全国に計24校(公立14、私立10)ある。
目的は、従来の学校生活になじめなかった子どもの学びを支えること。学習指導要領で定められた総授業時間数や教育内容を必要に応じて減らしたり、体験活動を増やしたりしたカリキュラムを、教員免許を持った教師が教える。
川口市は来年度以降、早期に市立の特例校を設置する考えだ。
対象は中学生のみ。通学の負担などを考慮し、小学生は当面、対象外とする。
場所は、既存の市の施設の活用を含めて検討する。具体的なカリキュラムは、不登校対策などに取り組んでいる「市教育研究所」などで考えるという。
市教育委員会によると、市内では不登校の小中学生が増加傾向にある。22年度は計約4万3千人のうち約1千人にのぼった。
奥ノ木信夫市長は15日、市議会の一般質問に答え、特例校設置の検討を指示したことを明かした。オンラインによる学習支援や「適応指導教室」などに力を入れていると述べたうえで、「教育の機会を確保し、進路選択や社会的自立に向けた支援を拡充させる必要がある」と答弁した。
不登校の子どもは県内全体で増えている。県教育委員会によると、県内の公立小中学校での1千人あたりの人数は、12年度は9・4人だったが、21年度には20・8人で過去最多だった。
特例校の設置を促すため、県教委は4月以降、さいたま市を除く市町村教委に、他県の事例や、利用できる国の補助金などについて紹介してきた。
川口の特例校については、県が運営する不登校の中学生向けの支援教室「いっぽ」で得たノウハウなどを伝え、早期開設に向けて支えていきたいとしている。
朝日新聞 2023年6月23日 朝刊より
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